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「グロースハックとは」 FB、Twitterの成長請負人が語るあなたの考えを覆すグロースの真実

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問1 グロースハックとは何か、説明しなさい。  

難しいですね。50点くらい配点貰っていい難易度です。  

グロースハックの説明として以下の特徴が頻繁に取り上げられますが、「それって単純にPMFじゃない?Leanじゃない?バイラル・マーケティングじゃない?」、「グロースハックって成果なの?施策なの?考え方なの?」などなど疑問は絶えず、これだという定義は日本はもちろん英語圏でも確立されていないように思います。  

 

  • 口コミによるバイラル効果
  • 仮説・検証・改善サイクルの高速回転
  • AARRRに基づくデータ解析
  • 適切なプロダクトを適切なマーケットに送る
  • 広告費に依存しない
  • 事業に失敗しないための施策/マインドセット
  • 「売れる」仕組みをサービス内に埋め込む

 

一方で、以下の設問ではいかがでしょう。  

 

問2 グロースハックは、グロースを最速で推進するエンジンである (Yes or No)  

 

多くの受験生が「Yes」と解答することに違いありませんが、TechCrunchに寄稿されたダン・カプラン氏の記事を基に本日ご紹介する「Facebook、Twitter、LinkedIn、PayPalの劇的なグロースを牽引した成長請負人3人が考えるグロース」は、あなたの考えを覆すかもしれません。  

 「グロースハックを定義しよう」と意気込んで書き始めた本記事ですが、三者が語るグロースハックには明確な共通点が存在し、グロースハックというコンセプト自体を考え直す良い機会となりました。皆様にとっても、サービスの成長を活性化する「グロースハックとは」という観点から、サービスの成長を活性化する「グロースの真のエンジンとは」という観点でプロダクト及びその成長を再考する機会になるはずです。

 

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エルマン氏が考えるグロース

ジョシュ・エルマン氏は、Twitter、Facebook、LinkedInの劇的成長を担った、グロースを語る上で欠かせない存在です。「グロースを推進するエンジンとは」という問いに対して、エルマン氏は以下のポイントを踏まえた回答を提示しています。

 

①口コミはネットサービスのグロースを支える基板   

エルマン氏は口コミの重要性を以下のように語っています。   

-既存ユーザーがあなたのプロダクトについて簡単に説明出来なければ、プロダクトのグロースは行き詰まるだろう。  

-グロースを原子レベルまで分解すると、結局一人の人間がプロダクトの情報を誰か他の人に伝えることに落ち着く。アプリであろうが、レストランであろうが、歯磨き粉であろうが、この原理に例外は無い。    

  

②グロースにマジックはない   

-グロースに「マジック・ハック」は存在しない。持続的なグロースは、練りに練られた計画や努力を要する。   

エルマン氏は、上記のように、グロース(=原子単位においては口コミ)は一昼夜にして成らないということも強調しています。1つの施策でグンとサービスが成長するわけではなく、継続的な取り組みが必要であると説いています。    

 

③グロースに不可欠な3つの礎  

グロースハックで知られるネットサービスは、以下の3つの礎(≒フェーズ/コーナーストーン)に特徴付けられるとエルマン氏は語ります。

 

1.意義

  「ネットで大きな成功を収めるプロダクトは、全て何らかの意義を持っている。つまり、ユーザーの生活に潜む重要なニーズを満たしている」とエルマン氏は語ります。  

以下の発言によって、「意義を持たせる=プロダクトを磨く」ことがグロースの第一歩であることも明かしています。  

-意義とは、企業側のビジョンやミッションでは無い。意義とは、人々がそのネットサービスを利用する最も重要な理由であり、既存ユーザーが第三者に対してなぜそのプロダクトを利用するのか、愛して止まないのか、を伝えるときに使うストーリーである。 

 

2.インセプション  

十分な意義を持つプロダクトは、自然と口コミを促し、まだプロダクトを体験したことの無い見込みユーザーに噂が届き(アイディアが植え付けられ)ます。  

エルマン氏は、(恐らく)ディカプリオ主演、渡辺謙助演の映画「インセプション(=アイディアを植え付けること)」のタイトルにちなんでこのフェーズを「インセプション」と呼んでおり、この段階で生まれる「乗り遅れたくない」というユーザーの衝動がグロースの大きなエンジンになると語っています。    

3. 導入  

プロダクトが意義を持ち、アイディアが人から人へと植え付けられたら、次は実際に新規ユーザーがプロダクトを体験(導入)する番です。  

エルマン氏は、ユーザーがサービスの導入をいかにナチュラルに、スムーズに行えるかがアクイジション後の各種メトリックスを最適化する重要な鍵であると説明します。

以前にグロースハックジャパンでも「継続ユーザーを増やしたいなら、まずはユーザーを「調教」しよう」を通じてお伝えした利用ガイドの重要性ですが、エルマン氏はそのパイオニアとも言える存在であり、グロースハックの例としてよく使われるTwitterの導入プロセスに初めてメスを入れたのも、エルマン氏です。

制作者は、「どのスキルや知識があればユーザーが最高のプロダクト体験を達成できるのか」、「そのスキルや知識をいかにスムーズに、ナチュラルに伝えられるか」、自身に問いかけることが重要であるともエルマン氏は語っています。

数の限られた初期ユーザーがこの3つのフェーズを乗り越えた時、口コミが口コミを呼び「バイラル効果」が生まれるというわけです。    

 

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チャドゥノフスキー氏が考えるグロース

スタン・チャドゥノフスキー氏は、PayPalのグロースチームを統括する重要人物です。「グロースを推進するエンジンとは」という問いに対して、チャドゥノフスキー氏は以下のポイントを踏まえた回答を提示しています.

 

 

①成長サービスが持つ3つの特徴  

チャドゥノフスキー氏によると、大半の成長サービスは以下の3つの特徴を兼ね備えています。  

 

  • プロダクトを紹介することで、被紹介者に対してスマートな印象を与えられる
  • プロダクトを紹介することで、紹介側がプロダクトから得る価値が向上する
  • 紹介されたプロダクトを利用することで、被紹介者も価値を実感出来る

 

ご覧のように、チャドゥノフスキー氏は一般的にグロースハックとして知られるトリックに一切言及していません。チャドゥノフスキー氏は、グロースハックという言葉に飽き飽きしているとも伝えられています。

 

②「言葉」はプロダクトを定義する  

前述のエルマン氏が語ったように、チャドゥノフスキー氏も口コミの重要性、そして既存ユーザーがプロダクトについて簡単に説明出来る必要を説いています。  

チャドゥノフスキー氏は、プロダクトを磨くことはもちろん、「言葉(キャッチコピー/文言)」を工夫することが口コミによる拡散に不可欠であると語っています。    

 

③使って覚える  

エルマン氏同様に、チャドゥノフスキー氏も初回体験時の導入プロセスの重要性を説いています。  

特筆すべき点として、説明やデモを使わずに、「使って覚える」ことが重要であると、チャドゥノフスキー氏はFacebookの例を挙げて説明しています。      

―フェイスブックのタグ付けの例を取ってみよう。あなたがフェイスブック上でダグ付されると必ずお知らせが届きます。もちろんお知らせはあなた自身の写真に関してですから、届いたお知らせを無視する理由はありません。フェイスブックがこの機能を通じて行なったのは、単純なお知らせではありません。フェイスブックは「写真をアップロードして友人にタグをつけましょう」と説明する代わりに、お知らせを通して「あなたも写真にタグを付けることが可能ですよ」という気付きを与えたのです。

 

④心理学の重要性   

チャドゥノフスキー氏は、大学時代、コンピューターサイエンスに加えて、心理学を専攻した経験を持ちます。  

チャドゥノフスキー氏によれば、FacebookやLinkedInの中で当たり前に使われる機能の多くは心理学に基づいて製作されており、グロースハッカーと名乗るのであれば、プログラミング、データ解析、商品開発、マーケティングに加えて、心理学の知識も必要であると語っています。  

特にリピーターの心理を探求することが重要であり、なぜリピーターは継続利用するのか、何が口コミに繋がるのか、どうすれば制作側の思い通りに動いてもらいながら、ユーザーに付加価値を提供し続けられるのか、といった質問を常に自身に問いかけ続けることが重要であると説いています。  

また、チャドゥノフスキー氏は「初回体験時に友人の招待を求めるサービス」に苦言を呈しています。まだ利用したことも無い、価値も分からないサービスをどう紹介すれば良いのかというユーザーの心理を考えれば当然でしょう。  

口コミが口コミを生むサービスを提供するためには既存ユーザーが確実にプロダクトの価値を理解している必要があり、その前提にあるのは適切な導入プロセスであるという見解です。    

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ジョーンズ氏が考えるグロース

アンディ・ジョーンズ氏は、フェイスブック史上初のグロースチームの主要メンバーとして活躍しました。「グロースを推進するエンジンとは」という問いに対して、ジョーンズ氏は以下のポイントを踏まえた回答を提示しています。    

 

①明確なユーザー像を持つ  

ジョーンズ氏は、アーリーステージの段階で明確なユーザー像を持ち、適切な形でアプローチを図ることの重要性を説いています。

たとえばFacebookは大学生に焦点を絞り、徐々に高校生、そしてその他のユーザーへと拡大していきました。ジョーンズがグロースハックを任されるファイナンシャルマネージメントサービスWealthfront」も、①20~35歳、②パソコン慣れしている、③長期的な投資計画を行いたいユーザーに特化し、明確かつ力強いストーリーをターゲットに認識させたことが、前年比300%(2013年度)の成長を遂げた基盤になったと語っています。    

  

②スケールしないことをやり続ける   

ジョーンズ氏は、エルマン氏同様に、グロースは一昼夜にして成らないということを、Airbnbの例を挙げて強調しています。  

―Airbnbを見てみよう。彼らは1つの都市に焦点を絞り、ユーザーは何を好むのか、嫌うのかを1~3年間かけて探求した。これこそが全起業が投資すべきグロースなんだ。    

  

③グロースはチームプレイの賜物      

ジョーンズ氏は、「グロースハッカー」という言葉によって、グロースは優秀な人材1人がもたらすモノいう誤った理解が浸透することに警鐘を鳴らしています。  

Twitterが約20人、Facebookが約40人で構成されるグロースチームを形成したことに倣い、「グロースハッカー一人を雇えば良い」という考えは今すぐ捨てるべきとの主張です。    

 

 

三者の意見から見出す結論

長くなりましたが、三者の「グロースを推進するエンジンとは」という問いに対する意見をここでまとめてみましょう。  

 

エルマン氏

 

  • ①口コミはネットサービスのグロースを支える基板
  • ②グロースにマジックはない
  • ③グロースに不可欠な3つの礎(意義、インセプション、導入)

 

チャドゥノフスキー氏 

  • ①成長サービスが持つ3つの特徴
  • ②「言葉」はプロダクトを定義する
  • ③使って覚える
  • ④心理学の重要性

ジョーンズ氏 

  • ①明確なユーザー像を持つ
  • ②スケールしないことをやり続ける
  • ③グロースはチームプレイの賜物 

 

それぞれの要点をまとめると、明らかに共通する点が3つ見えてきます。  

 

  • ①グロースハックは極上のプロダクトありき
  • ②グロースは一昼夜にしてならず
  • ③明確なストーリーとスムーズな導入プロセスの重要性

  

つまり、グロースを推進するエンジンとは、「ユーザーの重要なニーズを満たすプロダクトのメッセージ(満たすニーズ)と導入プロセスを、地道に、時間をかけて最適な状態に整え、サービスが自ずと成長する(ReferralとRetentionが伸びる)基盤を創る」こと。  

一般的にグロースハックとして知られるトリックは、グロースを推進する真のエンジンではないということです。  

あくまで三者の意見と私の解釈を基にした結論ですが、ジョーンズ氏は「グロースに取り組むということは、既に完成された極上のプロダクトという火に、燃料を注ぐこと」と描写しており、その比喩にも相通じる部分があるのではないでしょうか。    

 

*三者はAARRRの最後にあたるレベニュー部分には言及していませんが、「AAを最適化することで、ReferralとRetentionの基礎は整う」という旨の主張を掲げています。   

 

 

最後に

冒頭でもお伝えしたように、「グロースハックを定義しよう」と意気込んで書き始めた本記事ですが、結果的に「グロースハックとして知られるトリックはグロースの真のエンジンではなく、ユーザーの重要なニーズを満たすプロダクトのメッセージ(満たすニーズ)と導入プロセスを、地道に、時間をかけて最適な状態に整え、サービスが自ずと成長する(ReferralとRetentionが伸びる)基盤を創ることこそがグロースの源である」という結論に至りました。  

「散々グロースハックとか抜かして、グロースハックジャパンとか名乗って、今更何を言っているんだ」というご意見は最もであり、私も自身の反省の念を込めて本記事を投稿しております。マーケティングの都合も御座いますが、今後は今まで以上に言葉に細心の注意を払い、執筆活動に励みたい所存です。 

一方で、本記事でご紹介したプロダクト、導入プロセス、心理学の重要性は以下の過去記事を通じてお伝えしてきた通りであり、日本からより多くの成長サービスを生み出したいという思いに相反する訳ではないとも自負しております。  

まだまだ未熟ではございますが、今後も精進を重ね、読者の皆様に有益な情報をお届け出来れば幸いです。  

【過去記事】  

プロダクトの重要性: 成功するために、グロースハックはマーケティングよりもプロダクト開発に焦点を当てなければいけない  

 

導入プロセスの重要性: 継続ユーザーを増やしたいなら、まずはユーザーを「調教」しよう  

 

心理学の重要性:

グロースハッカーが操る6つの心理学テクと活用事例  

もう一つのグロースハック条件「認知的負荷最小化」5つのポイント  

「希少性の原理」を利用したグロースハック成功例・失敗例 8選  

Snapchat、Uber、Amazon他有名サービスに学ぶ色彩とブランディングの関係    

 

 

*内容を分かりやすくお伝えするため、意訳を含んでおります。  

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